前回に引き続き、技術書典6にサークル主として参加させていただきました。
技術同人誌界隈はかつてない盛り上がりを見せており、今回のサークル当落発表の際は地獄のようなタイムラインになっていました。そういった状況でサークル主として参加できたのは幸運でした。
今回の総括ですが、本のクオリティに関しては満足していますが、本を書く以外の行動が酷すぎて、反省点の多い会になりました。
今後サークル参加したい人に向けて一つのケースとして参考になればと思いブログで振り返ります。
今回は新刊で「Netlify Recipes」、既刊を改訂した「Gatsby Guidebook」を頒布しました。
「Netlify Recipes」はレシピ形式でNetlifyの機能や活用法を紹介する本です。どういった時にどういう機能を活用するのか、そういった機能を応用したらどんなことができるのか?など基礎的なものから応用的なものまで30のテクニックをまとめた本です。
今回はサンプルコードを厚めにし、ふと気になった時に参考にするリファレンス的な本を目指して書きました。
「Gatsby Guidebook」は前回の技術書典5で頒布した「GatsbyJSで作るモダンウェブサイト」の改訂版です。直したかった箇所の修正・追記で、30ページほど削って50ページ弱の追加になりました。また、Netlify Recipesの製作中に学んだLatex、Re:VIEWスキルを生かしてより見やすい本になっています。
内容としてはReact単体でポートフォリオを作り、Gatsbyを学びながら再現し、APIと管理画面だけを提供するHeadless CMSでの作例を紹介する形になっています。
前回よりボリュームアップし、2冊合わせて204ページとかなり厚みのある感じになりました。
また、自サークル以外でも、あ01の親方Projectで頒布している合同誌「ワンストップ勉強会」に参加し、ワンランク上の勉強会LT資料作成テクニックを書き、エンジニアの登壇を応援する会(あ01に委託)の「エンジニアの成長を応援する本」にはコラムとして「アウトプットを継続するコツ」をテーマに寄稿しました。
今回の主な失敗は次の3点になると思います。
Netlify Recipesはテクニック集なのですが、当初はCSS組版で1ページ単位でテクニックを紹介する形態を想定していました。
CSS組版は緑豆はるさめさんの書いた『CSSではじめる同人誌制作』を参考にしながらテンプレートを作り、MarkdownからHTMLに変化する仕組みも作って順風満帆なスタートかと思われました。
しかし、原稿を書き始めてから異変が起きます。ベーシックな仕組みは1週間かからず実現できたのですが、組版のレイアウトを考えるあまり執筆がどんどん辛くなっていきました。
レイアウトを考えながら執筆を進めるのは、いろんな要素が密に結合しているプログラムを書いている気分でした。プログラムに置き換えると「考えることが多い」というのは良くないことだとすぐわかります。
【悲報】技術書典6、CSS組版を諦めてRe:VIEWで挑むことにしました。考えることが多すぎて病みかけてた。
— もっと@技術書典6 赤字 (@mottox2) March 14, 2019
転機はこのツイートのタイミングです。これまで作ったMarkdownを変換する仕組みを捨て、前回もお世話になったRe:VIEWに逃げました。
幸い、原稿はある程度進んでいたので、Re:VIEWに移行してからは、移行前の3倍ぐらいの速度で執筆が進みました。
最初からRe:VIEWだったら、もう少しレシピを増やせたのかもしれないので悔しいです。
これは痛恨のミスで、連絡していたつもりが伝わっていなかったということが前日に発覚しました。(完全に自責100%)
そこで藁にもすがる気持ちで、売り子募集をしたところ「エンジニアの登壇を応援する会」の「忘年LT大会」で一緒にLTをしたkaztoさんが名乗りでてくれて、急なお願いにも関わらず引き受けてくださいました。本当に感謝です。
お手伝いしましょうか?当方コミケで売り子経験あります。
— kazto (@bainarian) April 13, 2019
また、kazto さん以外にも ナベさん、はがくん、主犯さんも手をあげてくださって、人に恵まれていると感じました。本当にありがとうございました。
人に迷惑をかける系のミスは、本当にやめたいので気をつけます…
これは笑いポイントですが、赤字でした。原因はそもそもページ数が多く、早割が効いていない状態でオプションをモリモリにした点です。
お気付きの人もいたかもしれませんが、本の表紙はマッドPPのオプション、ダウンロードカードは紙質をあげて角丸加工オプションをつけています。その上、Gatsby本に関しては、ページ数が前回より増えており本来1,500円に設定すべき本だったと思います。
オペレーションを煩雑にしたくないからという理由で1,000円にしてしまい、最終的に赤字になってしまいました。
#技術書典6 用のダウンロードカードが届いた!今回は角丸加工。
— もっと@技術書典6 赤字 (@mottox2) April 12, 2019
先着150人には冊子とセットで頒布します!https://t.co/2sppPnE9Fx pic.twitter.com/299kuYmKE4
同人誌イベントがあるたびに赤字になるのは継続性という観点でも良くないですし、「エンジニアはビジネスがわからない」などの煽りも受けたくないので継続的に同人活動を続けられる価格設定をしていきます。
そもそも、原価計算をしたのが技術書典後が始めてだったので、反省しています。早割が効いていればギリギリ黒字でした。
ただし、自分の作りたい本を追求したことは同人活動でしか味わえないと思うので充実感で一杯です。
悪い点も多かったですが、前回と比較してよくなったこともありました。
CSS組版を諦めても、自己満足かもしれません実現したかったことをRe:VIEWでも実現する努力をしています。
例えば、インラインコード。Qiitaやブログでは一般的になっている背景色ありのスタイルをつけています。サンプルコードを明示する際も、角丸付きの四角形で目に入るような形にしています。コラムのスタイルもいじっていて、面積をコンパクトにすることでページ余白に入れやすくしています。
前回はRe:VIEWを使うだけで手一杯だったのですが、今回は2回目ということもあり、Re:VIEWのソースも参考にしつつカスタマイズを加えて行きました。
おかげさまで、個人的な感覚ではありますが、読みやすさが向上しています。
また、カスタマイズではありませんが、ページの区切りを丁度よくするためにトリミングを多用しています。前回は、単純に画像の倍率をいじっていたのですが、今回はトリミングを使ったことでかなり見栄えがよくなりました。
こういったレイアウト調整の工夫は別途ブログの記事ネタとして放出していきます。
前回の技術書典5の時は、人生初の同人誌即売会で一般参加すらしていない状況で、空気感も分からず「ワンストップ技術同人誌」を参考に不安な気持ちで当日を迎えたことを覚えています。
本には書かれてはいたのですが、ポスターやブックカバーを用意せずに参加し「次回こそは」と思っていました。そこで今回はお品書きポスターを製作し、アクセアでポスターを印刷して持って行きました。
今回はお品書きのポスターも用意した!ちょっと厚めの紙を使うだけでそれっぽくなった。 #技術書典 #技術書典6 pic.twitter.com/TMacXzIx2z
— もっと@技術書典6 赤字 (@mottox2) April 13, 2019
効果があったのかはわかりませんが、満足感というか「サークルっぽい」という気持ちになれたのでよかったです。A3で二枚(展示用と保管用)印刷したのですが、紙にこだわったのにも関わらず300円程度でした。割と低コストで作れるので、同人誌即売会に限らず印刷物を作りたい気持ちになりました。アクセアはいいぞ。
前回と違い、今回は周りに知人も多く、頒布した本に関連する人たちのサークルも頭の中に入っていました。そういった背景もあり、サークルに来てくれた人の話からオススメのブースを紹介することもやっていました。
Gatsbyに興味はあるけどReactに抵抗感がある人には、となりのGridsome(Gatsbyにインスパイアされて作られたVue.jsのサイトジェネレータ)本を、GatsbyよりReactに興味のある人には、大岡さんのReact本を、Netlifyに限らず、静的サイトに興味のある人にはkondoyukoさんの静的サイトホスティング本を紹介していました。
他人のサークルにお客を流してた @mottox2 さん、人がよすぎやろ…。#技術書典 pic.twitter.com/NlMKGFuLRt
— 大岡由佳@技術書典6【さ02】りあクト! (@oukayuka) April 14, 2019
隣で頒布してたウチにもかなり誘導してくださっててありがたかったです。感謝。 https://t.co/N9FP6oyQ1l
— ponday (@ponday_dev) April 14, 2019
良いことなのかはわかりませんが、現地に来て本を探しに来たユーザーならではな体験なのかもしれないです。
(一応補足をしておくと、大岡さんの本は前回購入してわかりやすいと感じていますし、Gridsome本を書いたtyankatsuさんは一緒にコントリビュートしている仲間ですし、近藤さんは編集者なので非エンジニア目線でわかりやすく解説してくれると思って紹介しています。)
あとは、こういった紹介でReact界隈やJAMstack(GatsbyやGridsomeなどのJS製サイトジェネレータの総称)界隈が盛り上がればOSSコントリビューターとしても嬉しいです。
恥ずかしいことも書きましたが、この記事を読んでくれた方には自分と同じ失敗をして欲しくないです。参考になることが一つでもあったら嬉しいです。
失敗は多かったですが、非常に楽しくイベントに参加できました。来場者数が非常に多いイベントを開催している運営のみなさん、IT分野にも関わらず会場に足を運んでくれた参加者のみなさん、ありがとうございました。
最後に宣伝ですが、Boothに本を公開しました。紙の本はとらのあなさんにも入庫しているので、お急ぎの方はとらのあなさんの店舗に行けば手に入ると思います。
Netlify Recipes
【DL版】https://booth.pm/ja/items/1312384
【本版】https://booth.pm/ja/items/1316769
GatsbyJS Guidebook
【DL版】https://booth.pm/ja/items/1312387
【本版】 https://booth.pm/ja/items/1316761
【おまけ】今回の戦利品です。
#技術書典 の戦利品です!どんどん読んでいくぞ! pic.twitter.com/LLPGz6mSdO
— もっと@技術書典6 赤字 (@mottox2) April 15, 2019
ここ最近、Web技術を利用した画像生成に興味があります。本記事では、日本語における表現の一種である縦書きに焦点を当て、Web技術を使った縦書きを含む画像生成方法についての調査をまとめました。 > 現
追記(2022/12/29): 問い合わせに対応する窓口をTwitterに統一したいので、フォームページは削除しました。 当ブログは静的サイトホスティングサービスのNetlifyでホスティングされ
毎年10月に開催されるHacktoberfestに参加しました。このイベントはOSSへの貢献を行い、期間中に規定数(4つ)の貢献を行った人に特典がプレゼントされるものになっています。 自分はドキュメ